第1章では、オリエントおよび地中海周辺地域の古代文明をとりあげる。古代文明のうちもっともはやく成立したオリエント文明では、インダス文明や中国文明と同じく、大河の治水・灌漑にもとづく神権政治がおこなわれ、その政治形態は一部、後世のイスラーム世界にも引きつがれた。文化的にはエジプトの太陽暦、メソポタミアの十六進法、フェニキアの表音文字などがヨーロッパに伝えられ、パレスチナに誕生した一神教はのちにキリスト教をうみだした。またオリエント文明の影響をうけて東地中海沿岸に誕生したエーゲ文明では、いくつかの王権が小王国を支配していた。エーゲ文明崩壊後に出現したギリシア文明は、ポリスという独特の社会のしくみからうまれた。ポリス社会は、奴隷制がその経済的基盤ではあったが、専制王権がなく、独立した自由な市民たちの共同体であった。そこでは上からの命令ではなく、対等な議論による説得が人々を行動に向かわせた。ここから直接民主制が発生した。市民の自治に根ざしたポリス社会は、古代地中海世界の基礎となる都市生活の原型となり、また人間中心的で合理主義的な精神文化をうみだした。ギリシアの影響をうけてイタリアに誕生した都市国家の一つローマは、強大な軍事力を背景にやがて地中海周辺全域を統一した。ローマ帝国は以前からあったさまざまな文化・文明・民族を、地中海世界という一つのまとまりの中に統合・吸収し、年を中心にギリシア文化を継承発展させて植えつけた。「ローマの平和」のもとで繁栄したローマ文明は、その後のヨーロッパ文明の特設の母体である。一方、ローマ帝国に急速にひろがったキリスト教は、ギリシア文化とともにヨーロッパ思想の重大な源流となった。
(詳説世界史より抜粋)
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